紅茶々葉専門店「Tiny Tea Garden(タイニーティーガーデン)」
東京都新宿区にて良質でリーズナブルな名古屋・えいこく屋紅茶店の茶葉を販売

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ティーカップのひとりごと  第4話『午前11時を過ぎると 黒服の美女は……』

2023年5月20日

お店の扉を開けると、入ってすぐ右手奥のテーブルにその女性は必ず座っていた。
そのお店は所謂町の中華屋さんなのだが、中国人の料理人が腕を振るう安くて美味しいお店。
混まないうちに、(コロナということもあり)早めに食事を済ませようと私は午前11時20分頃にはお店に入るようにしていた。

当時の私はといえば、ずっと胃腸の具合が悪く何とか外食ができるようになった頃だった。半年以上前から投薬治療を受けていて、ヨーグルト+オートミールの朝食を摂り、お昼ご飯は食べやすいという理由だけでそばを茹でるのが毎日の日課になっていた頃だった。

そのお店に行くのは所用のついでに月に一度。
時折二度になることもあったが、行ける曜日は限られていたので、自分の行ける日に必ず彼女がいるのは何とも不思議だった。
私が食べるものといえば、いつも決まって”八宝菜定食”。「ご飯少なめでお願いします」と言って、ゆーっくり時間をかけて食べるのが常だった。

ある日ふと彼女の方を見やると、ご飯に麻婆豆腐をかけたもの(と何かもう一品)を食べている様子。
確かに毎回黒いものを目にしていた気がしたが、あの黒いものは麻婆豆腐だったのかと気づく。会計の時に「チャーシュー美味しかったです」などと彼女が曰わっているのを聞き、もう一つは汁の入った麺だったのかとも思う。その後何回か彼女に出会ったがいつも同じものを食べていたように思う。

それから1ヶ月後くらいだろうか、その店を訪れると、彼女の姿はなく、一体彼女はどういうものを食べているのかとこの日のセットメニューを頼むことに。
ところが量があまりに多すぎて半分も食べることができない。何気に男性サイズな感じが…。
お店の人に聞くと麻婆丼と麺のセットはありません、と言う。
いつも黒服を身にまとい(時にはメガネをかけた)涼しげな美女は、普通サイズな麻婆丼と麺をいつも食していたということだったのか!(なるほど。こちらはやっとのことで一人前。なのに、あなたは二人前!)

その後、一度だけそのお店に行き例の八宝菜定食を頼んだが、(料理人が変わったらしく)醤油味が濃くなりすぎていて、もう足を運ばなくなってしまった。

あれから半年以上が経った。大食漢、健啖家、大喰らい…、呼び名はたくさんあるけれど、午前11時過ぎの美女さま、相変わらずあの席にご着席なのでしょうか?

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